それの年の師走の20日あまり6日の、亥の時に門出す。そのよしいささかものにかきつく。
路を共にするもの二人。名を正木、森村といひ給う。
亥の時一刻のほど、森村氏の父君の遣わす車、老舗「氏.中空揚げ菓子」の横に出でたり。
荷を積み、午の方へ出づ。
壱の磯、七色なる沈降棒にて魚信を得るも、これを逃す。
いかでいかで。
いつの時も、魚をとり損なうこと、いといぶせきこと極まれり。
この磯にて、正木氏と森村氏、あからさまにののしりたまふ。
「こはいかに」
とて見ると、二人、ウツボと戯れ賜れり。
そのさま、いといたづらにて侍り。
弐の磯
魚、すべからく絶滅す。
便器にて記念写真を奉れり。
参の磯
森村氏、終始大殿篭る。いとわろし。
風雨強きこと限りなし。
いといたくおもひたる時、手前にて青青蛇行疑似餌にて魚信あり。
こはなんぞとて見ると、十寸ばかりなる平魚なり。
これもまたあわれなり。
あかつきとともに竿をしまふ。
帰路、正木氏終始大殿篭るさま、いとおかし。
森村氏の運転、終始あらまほし。
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